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「平安京物語」24“阿衡事件”(あこうじけん)は、平安時代前期に藤原基経と宇多天皇の間で起こった政治紛争である。阿衡の紛議とも呼ばれる

阿衡12
「平安京物語」24“阿衡事件”(あこうじけん)は、平安時代前期に藤原基経と宇多天皇の間で起こった政治紛争である。阿衡の紛議とも呼ばれる。887年(仁和3年)11月21日、藤原基経の推薦により臣籍から皇太子、次いで天皇に即位した宇多天皇は、その即位に際して、基経を関白に任じる詔勅を出した。基経は先例により一旦辞退する。天皇は左大弁橘広相に命じて二度目の詔勅を出した。その詔勅に「宜しく阿衡の任をもって卿の任とせよ」との一文があった。阿衡は中国の殷代の賢臣伊尹が任じられた官であり、この故事を橘広相は引用したのである。これを文章博士藤原佐世が「阿衡は位貴くも、職掌なし(地位は高いが職務を持たない)」と基経に告げたことにより大問題となる。基経は一切の政務を放棄してしまい、そのため国政が渋滞する事態に陥る。心痛した天皇は基経に丁重に了解を求めるが、確執は解けなかった。藤原佐世が基経にこうした騒ぎの種になるようなことを言ったのは、橘広相の出世を妬んだためとする説もある。翌888年(仁和4年)4月、天皇は左大臣源融に命じて博士らに阿衡に職掌がないか研究させた。藤原基経の威を恐れた博士らの見解は佐世と同じであった。広相はこれに反駁するが、6月、天皇は先の詔勅を取り消して、広相を罷免した。天皇は無念の思いを日記に記している。基経は執拗になおも広相を遠流(おんる。島流し等の追放刑)に処すよう求める。広相の無実を知る天皇は窮するが、讃岐守菅原道真がこれ以上紛争を続けるのは藤原氏のためにならない旨の書を基経に送り、基経が怒りを収めたことにより、ようやく事件は終息した。この事件により基経は藤原氏の権力の強さを世に知らしめ、天皇が事実上の傀儡であったことが証明された。ところが、『日本三代実録』元慶8年(884年)7月8日条によれば、同年6月7日に光孝天皇から政務の要請をされた際に、一旦これを辞退した際の藤原基経の返答に「如何、責阿衡、以忍労力疾、役冢宰以侵暑冒寒乎(果たして暑さや寒さに関係なく一生懸命に職務を行なうとしても、阿衡の責任を全うできるかどうか、私にはわかりません)」という語句を含めている。問題の「阿衡」という言葉を基経自身が用いたこととなり、基経が本当に元の意味を知らなかったのか疑問が持たれるところである。佐々木宗雄は、基経の本心は「阿衡」という言葉の正否よりも、光孝天皇の時に彼に与えられていた政務の全面委任(王権代行の権限)の授与を示す言葉が宇多天皇2度の詔には明記されなかったために、天皇が自己の政治権限の削除を図っているとの反感を抱いて、光孝天皇の時と同等の権限を求めたのではないかという説を立てている。
※藤原基経、阿衡事件・宇多天皇は先帝の例に倣い大政を基経に委ねることとし、左大弁橘広相に起草させ「万機はすべて太政大臣に関白し、しかるのにち奏下すべし」との詔をする。関白の号がここで初めて登場する。基経は儀礼的にいったん辞意を乞うが、天皇は重ねて広相に起草させ「宜しく阿衡の任を以て、卿の任となすべし」との詔をした。阿衡とは中国の故事によるものだが、これを文章博士藤原佐世が「阿衡には位貴しも、職掌なし」と基経に告げたため、基経はならばと政務を放棄してしまった。問題が長期化して半年にもおよび政務が渋滞してしまい宇多天皇は困りはて、真意を伝えて慰撫するが、基経は納得しない。阿衡の職掌について学者に検討させ、広相は言いがかりであることを抗弁するが、学者たちは基経の意を迎えるばかりだった。結局、広相を罷免し、天皇が自らの誤りを認める詔を発布することで決着がついた(阿衡事件)。これにより藤原氏の権力が天皇よりも強いことをあらためて世に知らしめることになった。これをいわゆる「正式の関白就任」と呼ぶこともある。基経はなおも広相を流罪とすることを求めるが、菅原道真が書を送って諫言しておさめた。この事件は天皇にとって屈辱だったようで、基経の死後に菅原道真を重用するようになる。宇多天皇と基経との関係は一応修復され、政務をとりはじめた。仁和4年(888年)に娘の温子が女御に上がっている。寛平3年(891年)、病床につき薨去。正一位が贈られ、昭宣と諡された。また、関白の地位は基経が亡くなった後も置かれた。




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侏儒のつぶやき

Author:侏儒のつぶやき
趣味歴史。歴史研究会に参加。フェイスブック「史跡探訪と歴史の調べの会」管理。
著書多数。歴研出版より「平安僧兵奮戦記」自費出版「古事記が語る古代の世界」「古事記が描く説話の憧憬」『芭蕉紀行世情今昔』他多数。

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